以前「NPOでの海外活動」でも取り上げたカンボジアの消防組織について、今回は詳細に書いていきます。
創設
インドネシアのスラバヤ支援実施中の2008年6月に他のNPO関係者からカンボジアの支援要請を受け、現地調査後救急救助の支援を開始しました。
2009年に実施した4回の渡航での経験から、公設消防の警察は現場で現金を受け取ってから活動していた実情と数台の消防車両も寄贈を終えていたので、日本の消防組織と同じ様な組織の方が市民の求めるところと判断し、総合的な緊急対応部隊すなわち日本で言うところの消防部隊の立ち上げを決定。
そのため、年数回の支援活動では目標達成は難しいと判断した初代理事長が2010年からプノンペンの第70旅団の駐屯地に住込みで長期滞在して指導をスタートしました。
最初の一年は、看護師の隊員もこれに参加しています。
最終的には足掛け10年間の滞在型指導となりましたが、その成果は?
発展
そうして発足したのがBrigade70 Rapid Rescue Company711 通称RRC711です。
訓練の一環で以前にアップしたように航空救助やCSR「Confined Space Rescue: 狭隘な空間での救助」も実施しています。
日本にも数回招聘して、救急救助の訓練を実施しています。
また、その際にはモリタの工場見学もさせていただいてます。
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CSRについては世界有数の施設を持つシンガポールや中国などでも訓練を実施しており、日本の救助隊員も経験できない経験を積んでいます。
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彼らのスキルアップを待っていたように、その後カンボジアでは建設中のビル崩壊が立て続けに起きてしまいした。
その都度プノンペンからリコプターで駆けつける彼らは今ではCSRの実践経験も多く、生存者の救出も経験しています。
このように国内唯一の救助隊であることから、各隊員の実際のCSR活動経験も豊富です。
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余談ですが、崩壊したビルの建設には皮肉にも中国企業が関わっており中国人の逮捕者も出ています。
最近の話題では、コロナウイルスの防疫活動も積極的に関与しており、困った時にいつも頼られる日本の消防部隊と同じような存在になりました。
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ソイナリ中将の存在
RRC711を統括しているのはソイナリ中将です。
ポルポト政権下の悲惨な時期も知っている彼は、国民を助けることが軍隊の真の務めと陣頭指揮を取り続けています。
部隊の隊員はもとよりJPRの会員も多くが彼のファンになるほどの人柄です。
初代理事長も彼がいなければ途中であきらめて日本に帰っていたかもしれない、というほど自己を犠牲にして、今もあらゆる面でサポートを続けてくれています。
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今後のRRC711
カンボジアでは今後700人の救助隊員を養成し、全国に分散配置し即応体制を強化する予定と聞いています。
今はプノンペンからヘリで全国へ展開しているので遠方だと2~3時間を要するので、非常に心強い計画です。
指導は訓練と実践を十分経験している今の隊員が実施してくれます。
資器材や車両を寄贈する団体は他にも多くありますが、それは単なる一つの手段にすぎずJPRの目的は人材育成を主眼に置いています。
そして成長した彼らがその国で指導者になれば我々の手を離れても発展し続けてくれるでしょう。
カンボジアはその点では目標達成です。
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何事も人とのつながりが一番大事ですが、初代理事長とソイナリ中将との関係があってこその成果です。
課題
課題としては、まず政府から明確な予算獲得があります。
しっかり予算獲得できれば更に多くの隊員の養成が可能になり、隈なく全国に配置できます。
また、公的な緊急通報システムの整備も急務です。
形の上ではカルメット病院内にとりあえずの物はありますが、お世辞にも機能しているとは言えません。
次に訓練で技術は学べますが、それをあらゆる災害に応用できるように理論を知識としてインプットする必要もありますので、カンボジア語で書かれた消火戦術学や救助学、救急救命学などのテキストも必要となりますね。
実際の現場で系統だった適切な活動をするために必要な知識をテキストでインプット、訓練でアウトプットして課題を修正し感性を磨くことの繰り返しが合理的な成長を促しますので、彼ら自ら作成することが望まれます。
最後に
消防の世界は何故か世界中同じような空気感で、旅先で日本から来た消防士だと言えば快く受け入れてくれることが多いです。
カンボジアにもそんな兄弟ができたことは非常にうれしく思います。
もし、消防士の方がカンボジアに行く機会があれば是非RRC711をご訪問ください。
あっ、でも一応軍の施設なんでアポなしでは無理ですので前もって訪問する日時をご連絡いただければソイナリ中将にお伝えしておきます!
おわり!
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