モルドバ共和国消防隊はしご車研修レポート

JPR

3月22日の深夜に日本を発ち、4月10日に帰国するまでODA事業である東欧のモルドバ共和国で50m級/30m級のはしご車と水槽付消防ポンプ車の研修に日本国際救急救助技術支援会(以下:JPR)のメンバーと共に参加しました。なお研修は、週ごとに対象地域がかわり5月上旬まで継続します。

モルドバ共和国

モルドバ共和国基礎知識
・面積 3万3,843平方キロメートル(九州よりやや小さい)
・人口 259.7万人(2021年:モルドバ国家統計局。トランスニストリア地域の住民を除く)
・首都 キシナウ
・民族 モルドバ(ルーマニア系)人(75.1%)、ウクライナ人(6.6%)、ロシア人(4.1%)、ガガウス(トルコ系)人(4.6%)等(2014年:モルドバ国勢調査)
・言語 ルーマニア語。ロシア語も一般に通用。
・宗教 キリスト教(正教)等  *外務省HPより

国旗
近隣諸国位置関係

モルドバ共和国の消防組織

モルドバ共和国の消防組織は、内務省に所属する国家機関緊急事態総局(IGSU)の中にあり​自然災害、火災、事故、疫病などの緊急事態に対して、​市民の生命・財産の保護と被害軽減を目的とした活動を行っています。​

IGSUの沿革

  • 1991年12月24日:​モルドバの独立に伴い、旧ソ連の民間防衛組織がモルドバ政府の管轄下に移行
  • 1993年:​民間防衛本部が「民間防衛・非常事態局」に再編成
  • 1996年:​この局が国防省から内務省の管轄に移され、消防・救助部門と統合​
  • 2001年:​組織名が「非常事態局」に変更
  • 2005年:​政府の行政改革により、現在の体制に再編成

IGSUの主任務と機能

  • 災害リスクの予防と管理​
  • 火災や事故への対応
  • 緊急時の救助活動と初期対応
  • 疫病や生物災害への対応
  • 市民保護のための教育・訓練活動​
  • 本部所在地:​モルドバ共和国 キシニョフ市 Gheorghe Asachi通り69番地​
IGSU徽章
IGSU本部

ODA事業との関わり

「令和3年11月26日(現地時間同日)、モルドバ共和国の首都キシニョフにおいて、片山芳宏駐モルドバ共和国日本国特命全権大使と先方アナ・レベンコ内務大臣(H.E. Ms. Ana REVENCO, Minister of Internal Affairs of the Republic of Moldova)との間で、無償資金協力「消防機材整備計画」(供与限度額15.49億円)に関する書簡の交換が行われました。
モルドバ共和国では、消防車両は消火活動に加え、洪水等の自然災害時や交通事故の救急救命を目的として使用されていますが、車両数の不足と現車両の老朽化により、適切な消火・救助活動を行うことができず、災害時の被害規模を拡大させる要因となっています。
本計画では、首都キシニョフ市、第二の都市バルツィ市、カフール県、ウンゲニ県、オルヘイ県において、水槽付消防ポンプ車、はしご車等の整備に加え、安全管理及び消防技術の指導等の支援を行います。今般の協力により、消防・救助活動能力の向上が図られ、モルドバ国民に対する公共サービス環境が改善されることが期待されます」
以上外務省のHPより

この計画に基づき今回は安全管理及び消防技術の指導等がJPRの任務となります。なお基本的な操作は先立って森田ポンプの方が実施されています。

3月24日~4月4日 場所:キシニョフ

この週と来週は首都キシニョフ市内の選抜メンバーが研修対象で内容は以下をを中心に実施しました。

  • 日本でのはしご車の運用方法概説
  • はしご車と建物間の安全な移動
  • 目標場所への架梯の方法
  • 要救助者の安全な確保とバスケット及びリフターへの誘導
  • はしご車からの放水

研修日初日にはこの時点でのはしご車の運用に関する筆記試験も!

研修当初感じたことは、目標建物へ移動の際に無確保の状態が比較的多くあったこと、架梯方法が目標場所の下方から目標に向けて伸梯していく方法をメインに実施していることでした。

理由を聞きましたが、特に明確な回答がないため慣習として実施しているものと判断し、修正の必要性を理解してもらいました。

実際に実技は適当な高層建物が訓練場所(消防訓練センター)付近には無かったため、はしご車を予め伸悌しバスケットをベランダとみなして実施しています。

要救助者救出後に火災に対しての放水を実施し、終了後にすべて収容し転進可能状態までを一連の流れとして、こちらも初日に各操作の評価を行いました。その後は同じ訓練を繰返し3日間実施して最終日にも同じ内容での評価を実施して締めくくりました。

初日に行った筆記試験と共にこちらも全員点数が上昇していたことや、研修最終日のアンケート結果から研修の効果があったと感じています。

セレモニー

今回の研修中に寄贈された消防車両の引渡式典が開催されました。

このセレモニーにはモルドバ政府からマイア・サンドゥ大統領をはじめニキーチン内務大臣、アレクサンドゥル・オプレア市民保護・緊急事態サービス庁長官、日本政府からは山田洋一郎駐モルドバ共和国日本国大使などがご参列されました。

市民保護・緊急事態サービス庁長官               大統領              内務大臣         

セレモニーの様子は、現地でも大きく報道されています。

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4月7日からは首都キシニョフを離れ各地での研修となります。それはまた次回に!

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