【東南アジアのプレホスピタル事情】ミャンマー連邦共和国編

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ミャンマー連邦共和国編

ミャンマーの国

基礎知識

  • 面積68万平方キロメートル(日本の約1.8倍)
  • 人口5,114万人(2019年推計(ミャンマー入国管理・人口省発表)
  • 民族ビルマ族(約70%)、その他多くの少数民族
  • 宗教仏教(90%)、キリスト教、イスラム教等
  • 1886年に英領インドに編入され、大東和戦争時には日本側についたり、連合国軍側についたり結構ややこしい経緯を経て、1948年1月4日にイギリス連邦を離脱してビルマ連邦として独立
https://tabizine.jp/2019/10/03/277082/
https://worldlink-union.jp/work/2109/

救急医療サービスの現状

ミャンマーにおける救急医療サービスは発展の途上にある。その提供は主に保健省が行っており、具体的には保健省は政府系病院の救急部門を通じて国民に提供している。

救急医療サービスを提供する施設は主要都市部に限られており、他の都市や地方部の病院には、施設や専門能力を有した人材の不足により、独立した救急部門は設けられておらず、外来部門で外来患者と救急患者の両者の医療を提供している状況である。

*下は2018年5月のミャンマーのヤンゴン国際空港で着陸時に滑走路から逸脱し大破した時の救護の様子

http://j.people.com.cn/n3/2019/0509/c94638-9576688.html
http://j.people.com.cn/n3/2019/0509/c94638-9576688-3.html
http://j.people.com.cn/n3/2019/0509/c94638-9576688-2.html
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医療機関

近代的な救急部門は1990年代初頭以降にヤンゴン総合病院に存在するのみで、2009年の時点では924の政府系病院のうち救急部門を有していたのはヤンゴン総合病院のみという状況であった。

現在のヤンゴン総合病院の救急部門は Australasian College for Emergency Medicine(ACEM)の支援を受けて2014年3月に開設された。

ネピドー1000床病院では、2013年12月以前に救急部門は存在せず、外来部門が全ての患者の受け入
れを行い、一次治療を行った後に特定の病棟に収容していた。

同病院ではACEM及びRoyal Australasian College of Surgeons(RACS)の支援により、SEA Games (東南アジア競技大会)直前の2013年12月に救急部門を開設し、救急部門は超音波、CT スキャン、MRI、患者モニターなどの機材を備えている 。

救急搬送体制・救急指令センター

救急搬送するシステムは確立されておらず、低規格な救急車か他の輸送手段のみが利用可能で、都市部における傷病者の搬送はタクシー、自家用車か他の車両に依存している状況である。

現在、ミャンマーにおいては救急搬送システムの整備が行われていない。救急車サービスは 1.公立
病院、2.NGO(ミャンマー医師会:MMAなど)、3.消防局、4.ミャンマー赤十字社、5.民間病院により提供されており各々の組織が各々下記の電話番号を設定している。

2013年のSEA Games を機に救急車要請のためのホットライン 192 番がネピドー地域に導入された。

ネピドーコールセンターはネピドー1000床病院内に設置されており、救急部門の救急医の管理下にある。

同センターには 5 台の電話が備えてあるため一度に 5 件の通報を受け付けることが可能であり、救急車とは無線で繋がっており、研修を受けた救急部門の看護師がオペレーターとして通報を受ける。

ただし、センターは特別なイベントや大勢の人々が集うイベントの際に稼働するのみであり、通常は稼働していない。

民間病院以外、救急車サービスは無料で提供されているが、病院前救護に係る国家の研修プログラムが存在しないため、組織により技術レベルが異なっている状況である。

救急救命士

フランスのAssociation Médicale Franco-Asiatique(AMFA)が2000年代初頭に救急救命士(EMT)育成を含む救急医療に関する研修を支援したが、本レポート作成時にはミャンマーには養成施設がなく救急救命士(EMT)については存在しない。

救急医は専門医として認められており、救急看護に関しては救急看護のディプロマコースが2015年から開始されている。

継続教育

救急医学及び救急医療サービス(EMS)に関する教育・研修は主に各病院、ドナーや ミャンマー医師会により実施されている

例えば、ネピドー1000床病院では、救急部門が病院の継続教育に関わっており、これまで初期安定化
や看護経験などに関する研修を二度行うなどの活動を行っている。

ミャンマー医師会はサイクロン・ナルギスの教訓からRoyal Australasian College of Surgeonsや香港からの支援により外傷初期診療コースを導入した。

まとめ

  • ミャンマーにおける EMS 開発は初期段階にあると言える
  • SEA Gamesの際に整備した救急車や EMTなどの人材は、今後の開発に貢献すると考えられる
  • 保健省は、様々な組織から提供されている救急搬送サービスの統合或いは連携強化に向け、具体的な動きを始めている
  • 救急医の数は増加しているものの、都市部に限られており、地方部における医師の育成を目的とした一次救急ケア・ディプロマコースの今後についても期待される

ディプロマ:学校を卒業したことを証明する証書で、必要な過程を終了して高い水準の知識や技術を習得したことを証明するもの

*本記事は「ASEAN 災害医療・救急医療にかかる情報収集・確認調査ファイナルレポート」を参考に作成しています。

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