【東南アジアのプレホスピタル事情】インドネシア共和国編

救急隊

インドネシア共和国編

インドネシアの国旗

基礎知識

首都ジャカルタ
ジャカルタ夜景
  • 面積約192万平方キロメートル(日本の約5倍)
  • 人口約2.7億人(2020年)
  • 宗教イスラム教(国教、82.1%)、仏教(6.3%)、キリスト教(6.7%)、その他・無宗教(4.9%)
  • 1949年ハーグ協定によりオランダがインドネシアの独立を承認。大統領制、共和制

救急搬送システム

1970年代に交通事故による死亡を抑制するための病院前救護インドネシアの救急医療サービス(EMS)スタート。

1972年には救急搬送サービスのパイロット事業が実施されたが、当時の優先課題は感染症等で資金不足のためフェードアウト。

1980年代後半から 1990 年代初頭にかけて、病院前救護の重要性に対する認識が高まり、インドネシ
ア外科学会によってジャカルタ・パレンバン・ジョグジャカルタ・スラバヤ・マカッサル・マラン・デンパサールなどの主要都市で救急搬送サービスが開始された。

インドネシアの EMS は病院に附属したシステムであることや、地方行政府における認識と優先順位によりEMSのレベルと質が左右されている現状がある。

救急要請

緊急通報サービスは1970年代よりジャカルタで開始され、地域の局番に118番を追加するものであったが、その後2013年に米国の911サービス巣を参考に各地域で開始した。通報番号は、地域の局番の後に119番を追加したり、病院では電話通信センター用の独自の局番を設定したりしている。

外務省海外安全ホームページによるとジャカルタ119番 スラバヤ・マカッサル・メダン118番 デンパサール227911番等。

救急通報センターは各病院内に設置されており緊急要請を受けるとその病院救急搬送チームを派遣す
る。そのため全国的な統計は十分できていない。

通報番号も警察への通報は日本と同様110番が全国的に普及しているが救急通報番号は未だ統一されていない。

将来的には保健省は、州/県/市の救急指令センターが、受信した要請及び対応を記録・分析することによって、対応者が、救急車到着までに、通報者に対してより適切な指示を行えるような制度を構築することが重要であると考え、同センターの強化を検討している。


患者は個人所有の車両や公共輸送機関で病院まで搬送されることが一般的であり、救急車は対応の遅
延や燃料不足などによる使用不可能といった理由であまり信頼されていない。

帰属: © VulcanSphere / Wikimedia Commons / CC BY 4.0

インドネシアの救急救命士

病院の救急指令センターで緊急通報を直接受け取ると、病院から救急車で派遣される職員に連
絡(それまでは通常の病院業務に従事)してからの出場となるため、出場までに10分以上は要する。

私が以前2017年ごろスラバヤで病院救急隊員に話を聞いた時も、「我々は15分ぐらいで出場できる!早いやろ!」的なニュアンスでした。

救急隊は看護師と運転手で構成されるが、現在(2015年現在)救急救命士は保健省によって正式に認定されておらず、各病院の基準で訓練を受けた救急車搭乗看護師が現場に派遣され、救急車搭乗看護師として登録された後、実際の活動を通じて自己の技量向上に継続的に取り組んでいる。

これもスラバヤでの経験ですが、GCLS(General cardiac life support)というテキストが普及しており、内容はACLSに外傷も加えて纏めれらいました。

コース自体はインドネシア外科学会による二次外傷治療コース、インドネシア心臓学会による二次救命処置コースや緊急患者管理、一般救急治療コース、二次小児蘇生コース、小児二次救命処置コース、及び二次新生児救命処置コースなどもあるようですが、救急医のCPD(継続教育)としての位置づけです。

しかし、救急医の現在の地位や仕事の負担感から、医学生で救急医を志すものは他の専門医と比較して非常に少数派となっています。

https://www.afpbb.com/articles/-/3070908?pid=17112960

まとめ

  • 救急搬送システムはまだ全国で統一されておらず、そのサービス内容や質にもばらつきがある。
  • 救急隊は病院勤務看護師で救急救命士という職種は存在していない。
  • いろんな救急コースはあるが、救急医の教育として存在している。

*本記事は「ASEAN 災害医療・救急医療にかかる情報収集・確認調査ファイナルレポート」を参考に作成しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました