今回は問題解決の一つの方法を書いてみます。タイトルにもあるようにロジカルシンキングを用いての方法です。
既に知っているよ~って方も多くいるとは思いますが、私は最近までロジカルシンキングって言葉はまったく知らなくて、目の前の問題を見える範囲で見て考えて答えを出してる感じでした。
なんとなく似たような方法を使っている時もありましたが、ロジカルシンキングを文字通りロジカルに説明している本に出合ってから、もう目からウロコどころか耳からウーロン茶ぐらいに「な~るほど!」ってなりました。まだご存じない方もいてはると思いますので現時点で説明できる範囲でご紹介します。
この手法はビジネスの世界の基本的な思考らしいですが、消防職員としても検証や多くの問題解決にはもってこいでなので強くおススメします。
おススメ理由3選!
問題解決力
問題の根っこまで掘っていくので問題を構成しているモノすべてを見ることができるので論点が明確になります。
具体的な論点が明確になればそこから抽象的な問題解決方法を考え、それをまた具体的な方法に落し込むことで問題解決能力が向上します。
具体的→抽象的→具体的の思考が出来れば問題解決の幅がひろがります。これはロジカルシンキングで深掘りしていく中で水平方向にも考えを広げていく方法で水平思考と言われるものです。
例として宇宙でボールペンが使えないのでアメリカではお金と時間をかけて宇宙でも使えるボールペンを開発しましたが、当時のソ連は鉛筆で代用しました。
ボールペンが使えない→ボールペンが必要なのではなく記録できないことが問題→書けたらなんでもOK→鉛筆使えるやん!
具体的な事象から抽象化して幅を広げて再度具体的なとこまで落し込んだわかりやすい事例ですね。
分析力
問題の根っこまで掘る時には、発生している事象をもれなくダブりなくを意識して分解していきます。すると問題点が明確になるとともに、分解して見えてきた問題を構成するモノそれぞれの関係性も見えてきます。
結果としてその作業は分析力の向上に繋がります。
例えば火災の現場検証や救急活動の検証時にこの方法を取り入れると、その結果の通り道をなぞることができるようになります。
提案力
これも分解していく過程でいろんな切り口を考えるので、多方面からのアプローチも可能になり提案する際には、たいがいの相手のニーズに合った説明を主張から根拠、そして事実や例を聞き手の立場からわかりやすく伝えることが可能になるので伝える力が強くなる。
なんか、言葉にすると書いててもよくわからないので例を出して説明します。
ロジックツリー
使用するのは階層構造のツリーです。
エクセルなら挿入→SmartArt→階層構造で簡単に作れます。またマインドマップ系も無料でDLできて使いやすいです。
今回は消防アルアルのひとつ、車両が小移動する際の静止物件との接触事故を例とします。
どこまでうまく説明できるかムッチャ不安ですがとりあえず始めます。
ロジックツリーを作成して、一番左端のスタートのお題を分解していきます。そして右方向にどんどん分岐を繰り返し深掘りしていくと右端最先端が原因や問題解決の一つの候補となります。
お題を分解する時に重要なのはその切り口です。何を知りたいのかで切り口が変わります。ここは結構悩むところでこれをうまく考えないと見当違いの結末を迎えます。
また、分解していく過程で気を付けないといけないのはもれなくダブりなく抽出していくことです。
前置きはこれぐらいで、では実践スタート!
まず事故の切り口を誘導があったかどうかでスタート
誘導があった・誘導は無かったの2通りしかないのでこうなりますが、基本的には全てYESかNOで分岐していきます。
そのあとは、包有関係と因果関係を維持しながら進めていきます。
次の階層は誘導があった場合にはそれに従ったか否か、誘導がなかった場合は誘導員はいたけど何らかの要因で誘導がなかったか、そもそも誘導員がいなかった場合も考えられます。
こんな感じでそれぞれの項目を深掘りしていきます。
それぞれの項目で右端まで行きつくとこんな感じになりましたが、なんか見にくいので普通にエクセルでも入力してみました。
先にこれから作った方が追加や削除がしやすいのでいいかもですね。
赤い部分がツリーで右端になった部分or事故の要因と考えられる事柄です。こうやって分解するといろんな事故の要因があることもわかります。
右端に具体的な要因が出てくればそのグループは終了となります。
仮にこの事故が運転操作の誤りであったとしても他の要因となりうる事項もこれだけあることも認識できるので、あらかじめ車両の点検や誘導方法の徹底などを実施することで事故が防げる可能性が格段に向上します。
今回は最初の切り口を誘導の有無ではじめましたが、切り口はどんな問題でもいろいろ出てくると思います。しかし、繰り返しになりますが切り口はキモですので試しに作ってみて目的に合致した要因が出てこない場合は、その切り口はNGです。
大まかに言うと次のような基準で最初の切り口を考えます。
- 発生確率が高い
- 直接に作用する事柄
- 悩んだら仮説を立ててみる
ロジカルシンキング勉強方法
私もまだまだ勉強不足で説明もかなりいっぱいっぱいなんでわかりにくかったと思いますが、ネット上ではかなりの方がわかりやすく説明してくれていますので、自分に合ったものが見つかるはずです。
下のサイトは動画でもページ上でも有料並みのコンテンツです。
やればやるほど深みにはまっていく酸塩基平衡みたいな面もありますが、新車購入時の選択肢や旅行の候補地なんかでも応用できるので生活にも役立つ知識です。
通勤時間などでは簡単に10分ぐらいにまとめられた動画もたくさんYouTubeにアップされているので初めはそれを観ているだけでもいいと思います。
興味をもてば入門書として「入社1年目から差がつく ロジカル・シンキング練習帳 」と「世界一やさしい問題解決の授業」が簡単に読めておススメです。
ロジカルシンキングで得た解決策の伝え方
さて、せっかくロジカルシンキングで得られた内容を伝えるのに下手をうてば意味がありません。それが今回のような事故の分析ではなく、実施したい大規模な訓練がなぜ必要かなどをトップにプレゼンする時にはなおさらです。
そこで登場するのがピラミッドストラクチャーを活用しての伝達です。
ピラミッドストラクチャーは結論と根拠をピラミッドの様に構成するフレームワークです。
一緒に書くとややこしいのでピラミッドストラクチャーについては次回説明します。
まとめ
- 問題解決にはロジカルシンキング
- ロジックツリーでまる見えに
- 実生活でもスマートな選択肢を得られます
おまけ
いろいろロジカルシンキングに関する本や動画などを見ているうちにふと思ったのが、このロジックツリーをフル活用すれば救急救命士制度の課題(whatツリー)抽出して、なぜそのような課題が生じているのか(whyツリー)を明確にし、どうすればもっと人命を助けることが可能か(howツリー)を提示することが可能です。
*今回はwhat/why/howツリーの違いは説明していません。
その論理を元に日本に完全なパラメディック制度やサミュ方式を導入すればどれだけの人命が救えるかスーパーコンピューターを使ってシミュレーションして公表すれば大きな変化が期待できると考えています。
正しいか正しくないかより絶対人の命の方が大事です。
もう時代は助かる命を助けたいではなく、助かる命は助けなければならない時代であるべきです。
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