日本で生まれたパルスオキシメーター
以前は救急車内に単独で設置されていたパルスオキシメーターですが、それが携帯式になりそしてより小型になった今は、患者監視装置一体式の他にも各隊員がポケットに入れて活動する時代になったパルスオキシメーター。
そんな、指につけるだけで簡単に体内の酸素の量が表示(*1)されるパルスオキシメーターですが、その原理はなんと!日本人が考え出したって知ってました?
*1 実際には酸素と結合したヘモグロビンの割合を測るので、ヘモグロビンが減少するような状態では表示上ではSpO2が保たれていても絶対的な酸素量は不足しています。
日本光電の青柳卓雄氏(故人)がその人です。
青柳氏は「患者モニタリングの究極の姿は治療の自動化であり、その理想に近づくためには、無侵襲連続測定の開発が重要である」という信念で1972年に拍動から動脈血の酸素飽和度を即手する方法を発見したそうです。
今日はパルスオキシメーターの中でも最も簡単に使用できる指先装着型パルスオキシメーターのお話です。
測定はどの指が正解?
経験の浅い救急隊員に検温を任すと、観察時に自分が直接傷病者に触れて自分との体温差で大体予想していた体温より低めのことってありませんか?
そんな時よくあるのが脇の下の中央部に先端部がちゃんと触れていないことでした。
これは測定場所を大雑把に脇の下としか認識していないからです。
これと同様でパルスオキシメーターも測定部位をただ指先とだけ覚えると正しく測定できない場合もあります。
では測定原理から確認してみましょう。
測定原理
- 動脈血の脈動に波長の異なる2種類の光を当て、吸収されずに指を通り抜けた光の変化を利用して、酸素飽和度、脈拍数を求める
- センサー部の形状や圧力は指定した方向でもっとも安定した測定ができるように設計されている
測定上の注意
測定原理から考えられる注意事項は
- 測定部位は厚みがありすぎても薄すぎてもダメ⇒親指や小指?
- 安定した測定をするためにはメーカー指定された方向に装着⇒密着度が下がる
- 安定した測定をするためには指により血流状態が違う場合もあるのでレベルメータがよく振れている指(血流状態のいい指)を選ぶ
結論として実際の測定に適した指は?
結論としては、血流が良好で適度の厚みがある指が正解となります。そして装着する際には機器の内側が指の形に添うように設計されているので上下を正しく装着することで光の漏れが防げます。
なんやねん!人差し指とか親指とかはっきりせんか~いってないんか~い!ってなりますが、活動上は指先をパッと見て爪床(指先)の血流がよければそこでいいです。
条件を満たせば、小児でも大人用のパルスオキシメーターで正しい値はでます。
逆にいい数字が出ていても、明らかに条件が全く合っていなければ信用できません。
メーカーによっては右手の人差し指が基本とか親指は非推奨とかありますが、大事なことは要は測定原理とデザインからそう書いていると思います。
あるメーカーの勉強会では血流が多い親指がいいですよとも聞いたこともあります。
最後に仕上げとして、測定したすぐの数字ではなく20秒くらいは測定している手を固定して脈波の安定を確かめてからの数字を読みましょう。
マニュキュアなどの対応
マニュキュアや爪床が濁っている場合の対応は足の指って答えもありますが、足の指も白濁がひどい場合があります。透過性を阻害する要因を避ければいいので横向きがベターとなります。
しかし、正しく測定するためにはメーカー推奨の方向という事からは外れますので、この上から手で覆って光の漏れを防ぐなどの工夫が必要です。
ちなみに透明のマニキュアも同様です。
まとめ
簡単やけど理屈はしっかりおさえとこ~! 以上!
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