消防士の士はサムライ、サムライと言えば武士(もののふ)、武士と言えば武士道:Bushidoです。
と、かなり無理はありますが、新渡戸稲造著の武士道には消防にも大いに通うじるところがあります。
武士道:Bushido:The Soul of Japan とは、新渡戸稲造が書いた日本の歴史に根付いた哲学・文化・道徳観念であり、武士たちが持つべき価値観を示しています。
消防士は、社会に対して重要な役割を担っており火災や救急事故などの危険な状況下で、人命救助や被害防止のために尽力しており、こちらも独特の価値観があります。
この両者の共通点とは?
なお、武士道に対して「消防士道」はちょっと変なので精神的なところは「消防士道」は「火消魂」でいきます。
七つの徳
武士道には、「義」Rectitude、「忠義」Loyalty、「勇」Courage、「仁」Benevolence、「礼」Respect、「誠」Honesty、「名誉」Honorといった徳と言われる価値観があります。
「義」:Rectitude
「義」という武士道の徳は、正義を追求することを意味します。
消防士も社会に対して正義を追求する役割を担います。
消防士は火災や救急事故などの危険な状況下で、人々を救助することによって社会に正義をもたらすことを目的とし、人々の生命や財産を守るために自らの命も犠牲にして仕事をこなすこともあります。
これは「義」という武士道の徳に対応するものであり、消防士にとっても重要な価値観で社会に対して果たすべき役割を示すものと言えます。
「義」は武士道の中でも最も重要な徳であり、正義や道義に従って行動することを意味します。
消防士にとっても、義は重要な役割を担うために一番必要な価値観と言えます。
「忠義」:Loyalty
武士道では「忠」は誠実を意味します。
武士は、自分の主君や家族、同志、そして自分自身に対する誠実を貫くことを求められていました。
誠実さは武士道の根本的な価値観であり武士の評価基準の大きな部分で主君への忠誠は、もし人事考課があれば功績よりも重要となります。
「忠」は、消防士においても同様に誠実を意味します。
消防士にとって忠誠の対象は自分の職務や市民に対する誠実さを貫くことになり、これは勤務態度として勤務評価されています。
困難な状況下でも誠実に対処する忠誠心は、時には自分自身の安全を犠牲にする場合もある火消魂の「忠」の精神をまさしく体現していると言えます。
「勇」:Courage
武士道では「勇敢」な行動を起こすことを求めるものとして定義し、正義を捨てず自分の意志を貫き信念や価値観に従って勇敢に行動することとしています。
消防士も同様に、危険な状況下でも「勇敢」に対処すること、正義や人道的な価値観に基づいて社会に対する責任を持って行動することが共通します。
「仁」:Benevolence
武士道の「仁」は他人を思いやる心つまり、自分自身を捨て他人のために尽くすこととされています。
そして、「仁」という徳を身につけることが、武士としての真の価値観を確立できるとも書いています。
消防士も同様に、救助対象者や市民に対する思いやりや尊敬の心を持つことが当然求められます。
人を救うという、自分自身を捨て他人のために尽くす使命は「仁」に間違いありません。
「礼」:Respect
武士道の「礼」は、日本の伝統的な武士文化における道徳や倫理観を表すもので、感謝の意味を持つ言葉や行動を指し最高位の「礼」は「愛」に近づくとまで表現しています。
確かに「愛」には感謝(ありがとう)の心が根っこにあり、相手を尊重することで自分に対する責任を持ち自身の信頼性を高め、相手から尊敬されることに繋がります。
消防士は、社会からの尊敬を受けて危険な状況に面しても市民を守ることで市民の要請に応じています。
この様にどちらも敬意を持つことが「礼」となります。
「誠」:Honesty
「誠」は、武士道では「正直」や「誠実」の意味を持ちます。
武士は、自分自身の意志や行動が正しいと信じ誠実に生き、他の人に対して正直であり信頼されるようになることを課せられます。
消防士は人々の生命や財産を守る任務を持ち、正直かつ誠実な行動でこれらの任務を遂行しなければなりません。
武士道と火消魂は正直かつ誠実な行動が求められるという共通点があります。
「名誉」:Honor
武士道においては、「名誉」は武士の根本的な価値観で「名誉」を大切にすることで尊敬や信頼を得ることができ、また名誉に対する責任を持つことを求められます。
消防士とっての名誉は仕事に対する責任を持つことや誠実で任務を遂行することで人々からの信頼を得ることです。
それが結果として「火消魂」の炎を更に激しく燃やし、より大きな名誉に繋がります。
まとめ
所属の優秀な隊長さんを頭に思い浮かべてください。
何となくでもこれらの「義」「忠義」「勇」「仁」「礼」「誠」「名誉」がまんべんなく身についてませんか?
経験からイマイチな隊長は明らかに数個の「徳」レベルが低いです。
できるだけ若いうちから意識して人生に一度っきりの「その日」の行動して下さい。
特に「義」と「勇」は消防士には基本です。常に正義を貫き勇敢に行動すると覚えておきましょう。
そして隊長であれば更に「仁」「礼」「誠」も重要です。
隊員がどうすればベストなパフォーマンスができるかを思いやり、隊員を愛し常に誠実に接してあげて下さい。
「忠義」「名誉」は、例えば上司などからの命令にすべて従うのではなく、判断が間違っている時はしっかり進言することが上司に「忠義」を果たし、組織の「名誉」を守ることになります。
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