まず電気自動車に接近する際には、必ず側面から接近することが重要です。電気自動車は運転音がしないこため、車両がドライブモードかもしれないための対応です。
電気自動車は非常に強力な推進力を持っているため、安全な角度、つまり側面から接近するようにしましょう。
電気自動車の外見上の特徴
電気自動車の最初の識別ポイントはその未来的ボディスタイリングで、車両の前部の尖ったノーズコーンやオッシャレ~なヒップライン、そしてモダンなヘッドライト周辺が目を引きます。
また、従来の車両とは異なり、電気自動車はラジエーターがないため、通常は前面にエアインテークがありません。
もう一つの重要な識別ポイントは、充電ポートパネルの存在です。これらは、後部クォーターパネル、フェンダー、またはノーズコーンエリア(ボンネット先端の尖った部分)にあるかもしれません。充電ポートやパネルが見えたら、これが電気自動車であるサインです。
また、電気自動車には排気システムがないため、排気マフラーが無ければさらに確証が持てます。
救助にしても救急、火災事案のいずれでもファーストレスポンダーとして、私たちは伝統的な内燃機関エンジンとは異なるものに対処していることを認識する必要があります。
特にその重量は内燃機関車両に比べてかなり重いため、救助作業や車両の安定化に影響を与えます。これを考慮して支援作業を行う必要があります。
サーマルランアウェイ(熱暴走)
サーマルランアウェイとは
発熱が更なる発熱を招き、温度上昇の制御が出来なくなる現象で、定電圧充電などで設定電圧が高すぎたり、蓄電池自体の温度が非常に高くなった場合に充電電流が増加し、温度が更に上昇する。
通常は熱暴走を防ぐ為の安全装置が取り付けられているが、経年劣化等で装置がはたらかず、最悪の場合はバッテリーが破壊したり、または発生したガスに引火する危険がある。*https://www.infuse-net.com/articles/articles.html より引用
サーマルランアウエイを特定する方法
サーマルランアウェイ(熱暴走)に関連する危険を特定するために、慎重なアプローチを取ることが重要です。
高電圧システムやバッテリーパックが損傷した事故に関わる車両では、バッテリーセルがサーマルランアウェイに陥る可能性があります。上記の通りサーマルランアウェイは、バッテリーセルが有毒で可燃性のガスを発生し始める現象で、引火爆発の恐れもあり非常に危険です。
車両に接近する際には、視覚、嗅覚、聴覚の3つの感覚を使用します。アーク音、ブザー音、ポップ音(マイクに発声などにより急激に風があたった時に生じる「ポコッ」「ボソッ」といった雑音)、またはヒス音(主に高い周波数範囲に発生する雑音)が聞こえたり、何かを感じたりした場合、それはガス放出の兆候です。
白煙が見えた場合は特に注意してください。その煙は通常の煙ではなく、リチウムイオンバッテリーに由来するガスである可能性が高く、そのガスには揮発性有機化合物(VOCs)や非常に有毒で可燃性の成分が含まれています。
これらの兆候を発見した場合は、車両から離れてPPE装備をアップグレードし、空気呼吸器と完全な物理的防護具を追加します。
また、資器材として積載していれば赤外線カメラと4成分(可燃性ガス、酸素、一酸化炭素、硫化水素)を検知可能な検知器を手に取り、再度車両に接近します。
もし車両がサーマルランアウェイ状態にある場合、消火活動と他の予測される事態に備えてください。
接近可能と判断すれば
以下が接近して対処する方法です。
まずはセオリー通りに全ての車輪を固定して接触点の確立から始まります。
これは、扱う車両の性質上非常に重要です。この基準が確立された後、標準的な4点のクリビング操作に進みます。
上の写真では救助隊員が最初に車輪を固定してからクリビングを実施しています。重複しますが、これが車両の前後移動を防ぐための最良の方法です。
なぜなら電気自動車に対処しているため、この車両はまだドライブモードにある可能性があり、前進または後退する可能性があります。
彼らはクリビングを二重に確認し、地面にカラムを作成し、車両を4点で安定させています。これが最良の方法です。
この状態まで完成すれば次の必要なステップに移りましょう!
まとめ
- アプローチの角度は車両の前後を避ける
- 車両はドライブモードにあり、前進または後退する可能性があると考える
- 最初の目的は車輪の固定を行う
- 車両の下に主要な接触点を確立する
- サーマルランアウェイの存在を特定するために、視覚、嗅覚、聴覚を使用する重要性を忘れない
- 必要に応じて、PPEを強化
*本記事はFire Engineeringを参考に作成しています。
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