
はじめまして。ハリーです。
私は18歳で消防士になり、55歳で早期退職するまで、36年間消防の現場で働いてきました。勤務した消防署は8つ。最初は救助隊を目指していましたが、2つ目の署からは主に救急隊員として活動することになりました。
人生は、思っていた通りには進みません。
でも、今振り返ると、その流れがあったからこそ、救急・救助・消防の現場を深く学び、退職後のNPO活動や海外支援にもつながりました。
もし生まれ変わって、もう一度進路を選べるとしても、私はきっと消防士を選びます。
この記事では、36年間消防の現場で働いた経験から、私が「生まれ変わっても消防士になりたい」と思う理由をお伝えします。
消防士の最大の魅力は「人の役に立っている実感」があること
消防の仕事は、きれいごとだけではありません。
火災、救助、救急、災害対応。
現場には、緊張も危険もあります。思い通りにならないこともあります。救えなかった悔しさを抱えることもあります。
それでも、消防士という仕事には、他の仕事ではなかなか得られない大きなやりがいがあります。
それは、目の前の人の命や生活に、直接関われることです。
救急現場では、傷病者の状態、家族の不安、現場の状況、搬送先の選定など、限られた時間の中で判断しなければなりません。火災や救助の現場では、危険を見極めながら、隊として最善の活動を選択する必要があります。
簡単な現場ばかりではありません。
むしろ経験を積むほど、難しい現場で自分の力が試されます。
しかし、その分だけ、活動がうまくいった時の達成感は大きいです。
活動後に本人や家族から感謝の言葉をいただいた時は、「この仕事をしていてよかった」と心から思いました。
消防士は、119番を受けた瞬間から、誰かの不安の先に立つ仕事です。
「困った時には来てくれる」と思ってもらえる存在であること。
これが、私にとって消防士の最大の魅力です。

現場では、知識・技術・判断力のすべてが試される
消防士の仕事は、体力だけでできる仕事ではありません。
もちろん体力は必要です。
しかし、それ以上に大切なのは、知識、技術、判断力、そしてチームで動く力です。
現場では、毎回同じ状況が起こるわけではありません。
建物の構造、要救助者の状態、火や煙の状況、使える資機材、隊員の経験、天候、時間帯。
そのすべてが変わります。
だからこそ、消防士には「覚えたことをそのままやる力」だけでなく、「その場で考えて動く力」が求められます。
新人のころは、まず基本を徹底的に覚えます。
ホース延長、空気呼吸器、資機材の扱い、救急活動の流れ、報告要領、安全管理。
しかし、経験を重ねるほど、問われるのは応用力です。
今、何が一番危険なのか。
どの順番で動くべきか。
隊員にどう指示を出すべきか。
次に何が起こる可能性があるか。
消防士の仕事は、学び続ける仕事です。
そして、学んだことが現場で人の命につながる仕事です。

自己啓発を続けるほど、現場での引き出しが増える
消防学校や所属での訓練だけでも、基本は身につきます。
しかし、本当に現場で強くなるには、自分で学び続ける姿勢が欠かせません。
救急、救助、火災、防災、災害医療、トリアージ、ロープレスキュー、外傷対応、チーム活動。
学ぼうと思えば、学ぶことはいくらでもあります。
私自身も、勤務しながら多くの講習会や研修に参加してきました。
そこで得た知識や技術は、現場での判断の幅を広げてくれました。
さらに、研修や講習会では、全国の消防職員や医療関係者とのつながりもできます。
この横のつながりは、大規模災害や広域連携を考えるうえでも大きな力になります。
消防士は、採用されたら完成する仕事ではありません。
採用されてから、どれだけ学び続けるかで、現場で見える景色が変わります。

勤務体制には特徴があるが、楽な仕事ではない
消防士の勤務体制は、一般的な会社員とは大きく異なります。
多くの消防本部では、24時間勤務を基本とする交代制勤務が行われています。
勤務明けの非番や公休があるため、平日に自由な時間を持てることもあります。
この点は、消防士の魅力の一つです。
ただし、「休みが多いから楽」という理解は少し違います。
24時間勤務では、出動が重なれば十分に休めないこともあります。
夜間の救急出動、火災、警戒、訓練、事務処理など、勤務中の緊張感は決して小さくありません。
非番の日も、体力回復や自己研修に使うことがあります。
若いころは遊びにも行けますが、現場で力を発揮するには、体調管理も大切な仕事の一部です。
消防士の勤務体制は、時間の使い方次第で大きな武器になります。
資格取得、トレーニング、家族との時間、自己啓発。
自分を成長させる時間にできる人にとっては、非常に魅力的な働き方です。

給料は安定しているが、それだけで選ぶ仕事ではない
消防士は地方公務員であるため、給与や福利厚生は比較的安定しています。
ただし、消防士を給料だけで選ぶのはおすすめしません。
消防の仕事には、危険があります。
精神的に重い現場もあります。
家を出る時に、「今日は何が起こるかわからない」と感じる日もあります。
それでも続けられるのは、この仕事に使命感と誇りを持てるからです。
給与や待遇は大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、現場に向き合う覚悟です。
「人の役に立ちたい」
「身体を使う仕事がしたい」
「チームで困難に立ち向かいたい」
「一生学び続ける仕事がしたい」
そう思える人にとって、消防士は非常にやりがいのある仕事です。

消防署は、一つのチームであり、もう一つの家族でもある
消防署での生活は、普通の職場とは少し違います。
24時間勤務では、同じ隊の仲間と食事をし、訓練をし、出動し、時には夜中に一緒に現場へ向かいます。
長い時間を共に過ごすため、自然と強い信頼関係が生まれます。
消防活動は、一人ではできません。
火災現場で筒先を持つ隊員。
後方でホースを支える隊員。
安全を確認する隊員。
指揮をとる隊長。
救急現場で観察する隊員、処置する隊員、家族対応をする隊員。
それぞれの役割がつながって、初めて一つの活動になります。
だから消防署には、独特の一体感があります。
厳しいこともありますが、同じ現場をくぐり抜けた仲間との絆は深いものです。
日本国内だけでなく、海外の消防署を訪ねても、消防士同士には通じ合う空気があります。
言葉が十分に通じなくても、同じ仕事に向き合う者同士として受け入れてもらえることがあります。
消防士は、地域を守る仕事であると同時に、仲間と共に成長していく仕事でもあります。

消防士を目指す人へ伝えたいこと
消防士を目指す人に伝えたいのは、消防は「かっこいい」だけの仕事ではないということです。
もちろん、消防車、救助工作車、資機材、現場活動には、憧れを持つ要素があります。
しかし、実際の仕事は地道な訓練と準備の積み重ねです。
現場で活躍する時間よりも、現場に備える時間の方が長いかもしれません。
道具を点検し、訓練し、体を鍛え、知識を学び、失敗を振り返る。
その繰り返しが、いざという時の一瞬を支えます。
消防士に必要なのは、派手さではありません。
素直に学ぶ力。
仲間を大切にする力。
苦しい場面でも逃げない心。
失敗から学び続ける姿勢。
そして、誰かのために動ける気持ちです。
この仕事は、簡単ではありません。
でも、本気で向き合えば、人生をかける価値のある仕事です。

まとめ|やっぱり、次も消防士になりたい
36年間消防士として働き、退職後はNPO活動や海外支援にも関わるようになりました。
振り返ってみると、消防で得た経験は、私の人生の土台になっています。
現場で学んだ判断力。
仲間と動く力。
人の命に向き合う責任感。
失敗から学ぶ姿勢。
そして、地域や世界の誰かのために動く気持ち。
これらは、消防士として働いたからこそ得られたものです。
もし生まれ変わって、もう一度進路を選べるとしても、私は消防士を選びます。
消防士は、危険も責任もある仕事です。
しかし、それ以上に、人として成長できる仕事です。
消防士を目指す人には、ぜひ胸を張って挑戦してほしいと思います。
現場で誰かを助けるその日まで、日々の努力を積み重ねてください。
そしていつか、あなた自身がこう思える日が来るかもしれません。
「生まれ変わっても、また消防士になりたい」と。


余談ですが、海外の消防ドラマにいろんなキャラクターがいますがそのキャラクターにかぶる署員も結構いてました。



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