シンガポール編
基礎知識
- 面積約720平方キロメートル(東京23区よりやや大きい)
- 人口約564万人(うちシンガポール人・永住者は407万人、兵庫県よりやや多い)(2022年)
- 民族中華系74%、マレー系14%、インド系9%(2022年)
- 言語国語はマレー語で公用語として英語、中国語、マレー語、タミール語
- 宗教は仏教、キリスト教、イスラム教、道教、ヒンズー教
救急医療サービスの現状
事故による負傷・外来サービスは、東南アジア諸国では非常に早くシンガポール総合病院において1948年に開始され、1964年には24 時間対応の救急部に発展
1999年には6つの公立病院におい24時間体制の急性期・事故・救急医療サービスが提供され、年間54万人程度が利用するようになった
1984年には、保健省が救急医療を専門的な医療分野の一つとして認識している
シンガポールでは2種類の救急要請の番号があり、緊急事案は995番、非緊急事案1777 番で995番報は SCDF:シンガポール市民防衛庁(消火と救助を担当する緊急時対応のための国家組織)が取り扱い、1777 番通報は民間の非救急搬送業者に転送される
SCDFによる救急搬送は傷病者を最寄りの病院に搬送し、民間救急搬送では患者が希望する病院へ搬送することもある
救急病院
8 カ所の公立病院があり、内訳は、6カ所の急性期総合病院と2カ所の専門病院(KK 女性・子ども病院、IMH)である
一般病院では、複数の専門科の救急入院患者、専門科外来、及び24時間対応の救急診療を提供している
2015年現在、6つの医療グループが公立病院と専門科施設を運営しており、保健省は国立電子カルテシステムを開発し、6つの医療グループ全体で市民の医療情報を参照できる
救急搬送体制
緊急搬送業務(EAS)を995番の統一番号で運用するためにSCDFを1989年に設立し、全ての緊
急通報は中央指令センターに集約され救急事案と火災事案に分類される
SCDFは傷病者の最寄りの消防署から派遣プロトコルに従って救急車を派遣し、外傷患者の場合には、オートバイによって救急隊員が派遣され、初期対応を行ったのち救急車に引き継ぐ。
救急車両には、救急車運転手1名、救急救命士1名、及び支援隊員(標準的な応急手当と心肺蘇生の訓練を受けた消防隊員)が同乗している
SCDFの救急車は全ての緊急事例を患者の容態に応じ、最寄りの病院に搬送することになっており、これは病院医師による治療開始を推進するともに、次の緊急要請に対する救急車の早期利用を図るためでもある
SCDFは搬送費用を請求しないが、患者状態の緊急と非緊急の最終決定は、受診した救急部門の医師の評価によって確定された結果に基づき非緊急症例であった場合には約200シンガポールドルが請求される
1777番要請の非緊急患者の民間救急搬送では、費用を負担する分、患者の希望に合わせた病院への搬送が可能
シンガポールの救急救命士
救急救命士全員がSCDFの職員で、救急救命士になるためには、SCDFが提供するSection
Commander(Paramedic)コースを修了する必要がある
応急手当普及活動
応急手当をできる人を増やすために、SCDFは地域救急準備として研修を市民向けに行っており、理論的かつ実践的な研修を通じて、応急手当、心肺蘇生(CPR)、防火対策、傷病者搬送、戦時やテロに対する緊急準備を学んでいる
救急救命士育成
救急救命士の訓練は、SCDFと軍医学学校、Justice Institute of British Columbiaの救急救命士学校の協力により1995年に開始された。
2015 年現在、救急救命士訓練の全課程をSCDFが承認している。救急救命士になるための Section Commander(Paramedic)コースは約14カ月間
まとめ
シンガポールは、国の経済状態、規模及び政治体制、想定される災害種が絞られていることなどから、
非常に効率的な体制を構築している
どこかの形だけパラメディック制度を導入した国と違い、本気で助ける命を助けるためにシステムが構築されており、学ぶべき点は多く参考にできる要素はてんこもりである
*本記事は「ASEAN 災害医療・救急医療にかかる情報収集・確認調査ファイナルレポート」を参考に作成しています。
コメント