救急救命士に限らず救急隊員にとっては非常に重要なアイテムの一つである聴診器。基本的に隊に支給されるので、隊として管理している場合もありますが直接肌に触れる部分もあるので、正規の救急隊員は個人で持っておく方がベターな資器材の一つです。
それに自分のを持ってるだけでなんかモチベーションも上がり、【普段から「聴く」】という観察をしっかりするようにもなります。
この【普段から「聴く」】ということが重要で、それが頭の中にデーターとして蓄積されて、ちょっとした異常音の時に「あれ?」となり、さらに慎重に聴いたりモニタリングに繋がります。いろんな異常音を聞き分けることは正直難しいですが、異常音(なんかおかしい)と判断する【聴く力】は持っときましょうね。
聴診器を選ぶ時のポイント
では実際どんな聴診器がいいのか、ちょっと迷うとこですが一般的には次のようなポイントがあります。
高品質な音質
患者の体内音を明確に聴取するため高品質な音質が求められます。また胸部、心臓、腹部など、部位に関係なく正確に捉える能力が求められます。それにより聴診器は医療診断に重要な役割を果たすことが可能になります。
耐久性と信頼性
救急現場では、聴診器は厳しい環境にさらされることが多々あります。したがって、シンプルな設計と信頼性が求められます。頻繁な使用に耐え、維持管理が簡単であることが重要です。
重さと操作性
長時間の救急対応で、聴診器を持ち歩くことが多いため、軽量かつ使いやすいデザインが好まれます。また使い勝手が良く、操作が簡単であることが必要です。
適切なチューブとヘッドピース
聴診器のヘッドピースやチューブ部分は、傷病者の体に触れるので適切なサイズを選択することで、傷病者に不快感を与えず、また聴診器の清潔保持にも繋がります。
ダブルヘッドまたはシングルヘッド
聴診器はダブルヘッドまたはシングルヘッドのバリエーションがあります。ダブルヘッドは様々な用途に使え、シングルヘッドは特定の用途に特化しているので、救急現場の状況に合ったタイプを選択するることが望ましいです。
消音機能
救急現場では、周囲の騒音が多いことがありので、不要な外部音を遮断する消音機能があるとすっごい便利です。
値段
値段も選定の大きな要因となります。聴診器は価格帯が広いため、予算内で最も適切なモデルを見つける必要があります。
維持管理
聴診器は患者ごとに清潔に保つ必要があります。したがって、分解しやすく、洗浄が容易なデザインの聴診器が好まれます。
救急隊員の聴診器選択時の優先項目
一般的には上記の様になりますが、救急隊員は実際の救急現場などから優先項目を考える必要があるため、耐久と信頼性、値段、維持管理が優先されます。
高品質な音質△
高品質な音質は、救急現場や車内では限界があるし診察をするわけでなく、呼吸器系のピンチや心臓のピンチの時の独特な音の判別できればOKなので普通のレベルで大丈夫です。
消音機能は欲しいところですが、値段や耐久性、重さ維持管理などとのバランスで好みによります。
耐久性、信頼性、維持管理◎ 値段〇
過酷な救急環境では丈夫で長持ち、消毒のための分解も救急車内でも簡単に実施できるってことは重要な項目になります。
その中で予算に収まる聴診器を選ぶというのが、一つの選択肢です。
ダブルORシングル?
救急現場や車内での使用が前提なので、少しでもストレスを少なくするために経験上シングルがお勧めです。
何度も言いますが、診察目的の聴診ではないので音質ではなく音の聞き分けですので、クルクル回ったりする機能はいらんし、ないと軽くなるし、ちょっと薄くなります。
このかすかな違いが年間出場5000件隊になると、消毒や分解掃除などの時間の短縮になります。
交換部品
イヤーピースやリム&ダイヤフラムは複数購入しておいて消毒が間に合わない場合に、すぐに交換できるようにいくつか救急車内か救急バッグ、自分の活動服の胸ポケット等に持っておくと便利です。
予備のピースイヤーがあれば、万が一他の隊員に貸し出す時も取替えてOKです。
おまけ
まだまだしばらくは、少なくとも救急現場や救急車内ではアナログ聴診で人間の耳と頭で判断する必要はありますが、IoTは確実に進化しておりもうデジタル聴診器も存在しています。
いうてるまに、さらに進んで救急現場では画像や情報をクラウドに送信して、AIが判定しその結果で搬送先や処置内容、走行経路も瞬時に決定される時代が到来します。
その場合もシステムの初期不具合は絶対に0にはなりません。その時にAI判断がおかしいと判断できるためにもまだまだしばらくは感性を磨いていきましょう!
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