米国ではEMS(日本の救急隊員)の早期死亡の原因の1位は交通事故対応中の路上での事故で、次に自殺(自死・自殺の表現に関するガイドラインに基づいて本記事では自殺という表現で統一します)となっています。
日本の救急隊員の皆さんはこれをどう受け止めますか?
あらゆる社会現象が米国の後を追いかけている状況から考えると令和世代が消防士になるころには日本も同じような事が起こっていると思います。
ちなみに令和3年の日本での自殺者数21,007人のうち警察官・消防士・自衛官等は102人で全体の0.49%です。 令和3年中における自殺の状況 – 警察庁より
救急隊員のこころの病気発症率
米国の例を挙げると、一般人口の成人の約20%が生涯のどこかの時期で精神的な疾患を経験しますが、救急隊員ではその数字が約30%になるそうです。
日本の場合もなんと、こころの病気の発症率は厚生労働省は5人に1人と発表していますので米国と同じ20%なので、フェルミ推定を使うまでもなく単純計算で日本の救急隊員の発症率も約30%と推測されます。
どんな仕事にもストレスはつきものですが、皆さんも心当たり無いですか?
これはブラック、ホワイトに関係なく漏れなくついており、私も消防士時代にはストレスとは長く付き合ってきましたし、退職後も色々な仕事にチャレンジしていますが、まじめに働けばやっぱりスケールの差はありますが感じます。
対外的にはホワイトでも実際はメッチャブラックな面も随所に残る消防ですが、常日頃から少人数で活動し対人活動をする救急隊は、他の業務に比較して本気でやればやるほどストレスが多いのも経験上からも間違いない事実です。
ストレスって?
ほな、この目に見えないストレスって何なん?ってことになりますが、個人的な感覚では軽いのはなんかみぞおちのあたりのモヤっと感で、重いのが全身を覆うドヨヨ~ン感です。
もともと人間には、外部環境の変化があっても体内環境を一定に保つシステムである恒常性が備わっていますが、そのシステムが崩壊した時がストレスを感じる時らしいです。
筋トレで考えると、毎回少しずつ自身の限界をオーバーしてトレーニングすると筋肉にストレスがかかり痛みとして肉体にサインを出します。
何回も繰り返すと筋肉所属の恒常性は学習して少しばかり前回より筋繊維を太めに設定してストレスに感じないようにします。
ストレスを感じなくなると少しまた負荷を大きくするとまた同じ作用が働くので、これが筋肥大に繋がります。
この場合のストレスは、コントロール下での意図したシステム利用なので良いストレスと表現できます。
同様に日々の精神的なストレスも精神的な恒常性の成長により、案外うまくさばけるようになっていきます。
問題はコントロールできない外部からの刺激で恒常性が爆発的に崩壊した場合です。この場合には強く異様な歪みを感じます。
ストレスに寄与するものとしては、「ストレスの原因」「ストレスに対する反応」「心理的防衛機制」があります。
ストレスの原因
- 慢性的な睡眠不足と不規則睡眠
- 繰り返し経験する眼前での死や悲惨な状況
- 救命できなかった事案の後悔
- 機能不全の病院選定システム
などの蓄積が知らない間に心に影を落としていきます。
ストレスに対する反応
心理的反応
本人的には不安や恐怖、緊張などのすべてのネガティブな感覚に支配されます。第三者からも集中力や思考能力、判断能力の低下でそのサイン取れる場合があります。
行動的反応
怒りやすくなり攻撃的になったり、激しく泣きわめくなどの過激な行動や、逆に孤立して引きこもったりの行動。それに拒食・過食や突然のチック、吃音などもこれにあたります。なんかしでかして、監察室に呼び出されて向かう道中足取りが重たいのもストレスからの回避行動です。
身体的反応
これは多岐にわたりますし、全身どこでも症状は出ます。私の場合は不整脈とめまいがありました。
こころの病気との付き合い方
いくら予防策や解決策を模索しても、生きている以上はストレスからは解放されないので心の病気になるリスクは誰でもあります。
ストレスに負けそうなときにバカ騒ぎしたり、深酒したりして平然を装うこともストレスに栄養を与えているようなものです。
それやったら、もうストレスと上手に付き合うほうが気楽で手間もかかりません。
過去は変えれないけど、これからは自分の行動次第でなんとでもなるし心配事のほとんどは妄想で9割は起こりません。
チャンスに打率1割の打者に期待しますか?しませんよね。そんな感じでいいですよ。
読書もお勧めしますが、難しい心理学はやめときましょう。
ストーリーが面白い、読んでて楽しくなる自己啓発本もたくさんあります。
本っていうのは人間が文字を発明してから思考や物事、結果と原因などのデーターが蓄積されていて、数時間で何百年何千年の経験が得られる素晴らしい人類最大の発明品です。
大丈夫!人間は自分が思うような人間にきっとなれます。
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