2026年8月、ロサンゼルスの消防・救急システムを学ぶため、Los Angeles Fire Department(LAFD)の消防署を訪問する機会があった。
Hollywood地区の消防署で話を聞いていると、日本ではあまり馴染みのない名前が出てきた。
「TEMS」
Tactical Emergency Medical Support。
日本語にすれば「戦術的緊急医療支援」といった意味になる。
現地で聞いた話をきっかけに、帰国後、LAFD、LAPD、Los Angeles County EMS Agencyなどの公開資料を調べてみた。
そこで見えてきたのは、TEMSが単に「SWATの後ろで救急車を待機させる仕組み」ではないということだった。
LAFDは2017年、TEMS Unitを、高度な訓練と経験を持ち、法執行機関にembedded(組み込まれて)活動し、Active Shooter、つまり銃撃犯による脅威が継続している可能性のある事案にも対応できるParamedicの集団と説明している。[LAFD 2017] [3]
元消防職員、救急救命士として現場を経験してきた立場から、ここで考えたいのは「アメリカはすごい」という話ではない。
もっと本質的な問いがある。
傷病者を救うために、救急医療は危険の残る現場へどこまで近づくべきなのか。
【LAFD TEMSとは何か】

まず名称から整理したい。
LAFDは2017年の公式記事で、Tactical Emergency Medical Support Unit(TEMS Unit)という名称を使用している。一方、2020年にFast Response Vehicleについて発表した際には、Tactical EMS(TEMS)という表現を使っている。さらにLos Angeles County EMS Agencyの2026年方針では、Tactical Emergency Medical Services(TEMS)Personnelという表現が使われている。[LAFD 2017][LAFD 2020][LA County EMS 2026] [4]
つまり、「Support」と「Services/EMS」が公開資料の中でも併存している。
LAFD自身は「TEMS Unit」と呼んでいるため、特殊ユニットとしての側面は確かにある。
しかし2020年には、Fast Response Vehicle(FRV)の要員にもTEMS能力を持たせていた。したがって、LAFDとは別の独立機関ではなく、消防・EMSの中に戦術医療能力を組み込むユニット/機能として見る方が理解しやすい。[LAFD 2020] [5]
では、いつ始まったのかは、ここは慎重に書きたい。
LAFDは2017年の記事で、TEMSについて当時「発足からほぼ5年」という趣旨の説明をしている。単純に逆算すれば2012年前後となるが、今回確認した一次資料では正式な設立年月日を明示した文書は確認できなかった。[LAFD 2017] [3]
したがって、本稿では「2012年設立」と断定しない。
確認できるのは、「2017年時点でLAFDが約5年間活動していたと説明していた」というところまでである。
【なぜSWATにParamedicが必要なのか】
通常の救急活動では、救急隊自身の安全確保が大前提になる。
暴力が続いている現場であれば、警察による安全確保を待つ。
これは当然の原則である。
しかしActive Shooter、武装した立てこもり、人質事案などでは、一つのジレンマが生まれる。
「傷病者がいる場所」と「通常のEMSが安全に活動できる場所」の間に、時間的な距離が生まれる。
その間にも出血は続く。
LAFDが2017年の記事でTEMSの目的として挙げたのも、この問題だった。銃撃された傷病者が血液喪失や外傷センターへの搬送の遅れによって死亡する可能性を踏まえ、迅速な救出と搬送によって生命喪失を減らすことを目指すと説明している。[LAFD 2017] [3]
American College of Surgeonsの「Stop the Bleed」も、重度の出血は適切な対応がなければ数分で生命を脅かし得ると啓発している。2025年のACS資料では「最短では5分程度」という表現も使われている。 [6]
ただし、「銃創なら誰でも5分で死亡する」という意味ではない。
損傷した血管、出血部位、出血速度、患者の状態によって経過は大きく異なる。
重要なのは、治療可能な大量出血に対して、医療アクセスを不必要に遅らせないこと。
そのために、救急隊を無防備に危険へ送り込むのではなく、危険環境を理解する医療要員を準備し、リスクを管理しながら医療開始地点を前へ動かす。
ここにTEMSの考え方がある。
【誰がTEMSとして活動するのか】
LAFDは2017年のTEMS Unitを、highly trained and experienced paramedics、つまり高度な訓練と経験を持つParamedicの集団と表現している。
また2020年のFRVに関する公式資料では、FRVにFirefighter/Paramedicsが配置されていたことが確認できる。[LAFD 2017][LAFD 2020] [7]
一方、Los Angeles County EMS Agencyが2026年4月に改訂したRef.840「Medical Support During Tactical Operations」は、TEMS personnelを、戦術医療訓練を修了し、それぞれに認められたScope of Practice、つまり資格上許された医療行為の範囲で活動する医師、EMT、Paramedic、MICNとして定義している。Paramedicについては州の免許とLos Angeles Countyのaccreditationが必要である。[LA County EMS 2026] [8]
さらに同方針では、Hot Zone内で活動する非警察系TEMS要員について、POST認定・EMSA承認、または同等のTactical Medicine Training Programを最低基準とし、80時間以上の教育を示している。
そこには座学や医療技能だけでなく、戦術環境、医療シナリオ、技能評価、戦術医療シナリオ試験などが含まれる。[LA County EMS 2026] [9]
POST/EMSAの教育体系には、出血制御、患者搬出、気道管理、ICS、低照度環境、戦術装備、body armorなども教育項目として含まれている。これは「医療処置の講習」だけではTEMSにならないことを示している。[POST/EMSA 2010] [10]
ただし、LAFD TEMS固有の現在の応募資格、必要経験年数、選考方法、勤務パターンは、公開資料では確認できなかった。
ここはCalifornia全体の教育基準と、LAFD独自の選抜制度を混同しないよう注意が必要である。
【SWATの後ろで待つだけなのか】
LAFDが使うembeddedという言葉は重要である。[LAFD 2017] [3]
これは、
SWATが任務を終える。
現場全体が安全になる。
その後、救急隊が入る。
という単純な順番とは少し違う。
近年のLAPD公式発表を見ると、その実態が見えてくる。
2024年12月、Topanga Divisionで発生したホテルでの立てこもり事案では、SWATとLAFD TEMSがホテル内へ入り、発見された人物をTEMSが直ちに医学的に評価した。[LAPD 2024] [11]
2025年7月のHollenbeck Divisionの事案でも、SWATとLAFD TEMSが対象者へ接近し、TEMSが医学的評価を実施している。[LAPD 2025a] [12]
さらに2025年8月のSouthwest Divisionの事案では、SWATとLAFD TEMSが救出活動を行い、被害者を安全な場所へ移動させたことがLAPDから公表されている。[LAPD 2025b] [13]
したがって、「SWAT活動が完全終了するまで遠くで待っている通常EMS」という説明では足りない。
少なくとも公開された実運用例を見る限り、TEMSはSWAT活動に組み込まれ、通常EMSより前方で医療アクセスを確保している。
一方、「どの事件でもSWATと同じ最前線まで入る」とも言えない。
LAFD固有の進入基準、撤退基準、個別状況での最終判断者などの詳細な戦術手順は、公開資料では確認できなかった。
実際に銃撃が続く中で負傷SWAT隊員を救護した事例
LAFD TEMSが「SWATの近くで待機する救急隊」ではないことを象徴する事例がある。
2025年、Los Angeles Fire Department Foundationは、LAFDのFirefighter/ParamedicであるJason Jasgur氏のTEMSでの活動を紹介している。
Jasgur氏は2018年にTEMS Unitへ応募し、法執行機関の特殊活動に組み込まれて活動するParamedicとなった。
その後、あるActive Shooter事案で、銃撃戦の最中にSWAT隊員が顔面を撃たれる場面に遭遇した。
記事によれば、その後も頭上を弾丸が飛び交う状況の中で、Jasgur氏は負傷したSWAT隊員に救命処置を行い、最終的にその命を救ったという。本人はこの経験について、TEMSがまさにそのために存在しているという趣旨の言葉を残している。
この事例を見ると、LAFDがTEMS隊員を法執行機関にembeddedと表現する意味がより分かりやすくなる。
事件が完全に終息した後に救急車から降りてくるのではない。
脅威が残る戦術環境を理解し、法執行機関とともに行動しながら、通常のEMSより早い段階で負傷者へ医療を届ける。
まさにそれがTEMSなのである。
ただし、このエピソードをもって「LAFD TEMSは常に銃弾が飛び交うHot Zoneで活動する」と一般化してはいけない。
公開資料から確認できるのは、実際に銃撃が継続する極めて危険な状況で負傷SWAT隊員を救護した事例が存在するということであり、通常の進入基準やHot Zoneへの進入条件まで公開されているわけではない。
ここは記事全体の姿勢と合わせて、慎重に区別しておきたい。
【Hot・Warm・Cold ZoneとRTF】

ここで重要になるのが、危険区域を段階的に考える方法である。
Los Angeles County EMS Agencyの2026年版Ref.840は、
Hot Zone
直接かつ即時の脅威が存在する区域。
Warm Zone
法執行機関によって直接・即時の脅威がなくなったと判断され、戦術的なフィールドケアやトリアージが可能な区域。
Cold Zone
医療者や患者に重大な危険・脅威が合理的に予測されない区域。
と定義している。[LA County EMS 2026] [14]
さらに同方針は、Tactical Emergency Casualty Care(TECC:戦術的緊急傷病者救護)の原則に従い、Hot Zoneでは患者の退避と出血制御を優先し、Warm Zoneでは直ちに生命を脅かす問題に対する限定的なケアを行い、追加の医療は理想的にはCold Zoneで行うとしている。[LA County EMS 2026] [15]
ここは非常に重要だと思う。脅威が高いほど高度な医療をたくさん行うのではない。むしろ逆である。
危険が高い場所では医療行為を絞り、
止血する。
退避させる。
より安全な場所へ移動する。
そこで次の医療を追加する。
戦術環境に合わせて、医療そのものを段階化するのである。
もう一つ似た言葉に、Rescue Task Force(RTF:救出タスクフォース)がある。
米国国土安全保障省のCenter for Domestic Preparednessは、Active Assailant事案において法執行機関、消防、EMSを統合した医療・救出対応の構成要素としてRTFを教育している。 [16]
RTFとTEMSは似ているが、同じものではない。
RTFは、事件発生時に法執行機関・消防・EMSを統合して傷病者救出を進める運用モデル。
LAFD TEMSは、あらかじめ戦術医療訓練を受けた医療要員をSWATなどの特殊活動へ組み込む仕組み。
そう整理すると分かりやすい。
【通常のParamedicと何が違うのか】

TEMSだからといって、別の医療資格になるわけではない。
Los Angeles Countyの2026年方針は、TEMS personnelもそれぞれに認められたScope of Practice内で医療を行うとしている。[LA County EMS 2026] [17]
Los Angeles CountyのParamedic Scope of Practiceには、高度な気道管理、needle thoracostomy(緊張性気胸などを想定した針による胸腔減圧)、静脈路・骨髄路確保などが含まれ、認められた薬剤にはtranexamic acid(TXA)も含まれている。[LA County EMS Ref.803] [18]
しかし、これはあくまでLos Angeles CountyのParamedicとして持つ医療上の権限である。
「TEMSだから特殊な薬剤を自由に使える」
「戦術現場では通常より処置範囲が広がる」
という意味ではない。
TEMS特有なのは、何ができるか以上に、どこで、いつ、何を優先するかである。これは日常の救急活動でも重要な思考である。
Los Angeles County Ref.840は、Hot Zoneでは患者退避と出血制御、Warm Zoneでは即時の生命危機に対する限定的ケアを優先する。また、TEMSを提供する機関はincident management、つまり事案管理の事前計画にも参加すべきだとしている。[LA County EMS 2026] [15]
さらにLAFDは2016年のUCLAでの警察支援事案で、TEMSについて、法執行機関とともにhigh-risk and extended duration special operations、つまり高リスクで長時間に及ぶ特殊活動において緊急医療を提供する存在と説明している。[LAFD 2016] [19]
TEMSは負傷者が出てから動く医療要員だけではない。
長時間の特殊作戦そのものを医療面から支える役割も持っていることが分かる。
【消防と警察は誰が指揮するのか】
“embedded”と聞くと、「LAFDのParamedicはLAPDの完全な指揮下に入るのか」という疑問が出る。
しかし、LAFD TEMS固有の詳細な指揮命令系統について、今回確認した公開資料だけでそこまで断定することはできない。
Los Angeles County Ref.840は、TEMS提供機関にincident managementの事前計画への参加を求める一方、このガイドラインは既存のEMS policyを置き換えるものではないとしている。[LA County EMS 2026] [15]
またLAFDのTraining and Support Bureauは、複数機関がUnified Command(統合指揮)の下で活動するためのCommand Post機能を運用・訓練し、法執行機関、FBI、米軍、空港などとの複数機関訓練を行っている。[LAFD Training] [20]
[考察]
ここから考えると、重要なのは、「警察と消防のどちらが上なのか」ではない。
警察が持つ脅威評価と戦術。消防・EMSが持つ医療責任。ICS/Unified Commandによる全体調整。
この三つをどう接続するかである。
事件が発生してから初めて関係機関同士が調整するのでは、医療を安全に前進させることは難しい。
平時から共通の用語、通信、進入・撤退の考え方を共有することが重要になる。
もう一つ、よく質問されそうなのが、「TEMSのParamedicは武装しているのか」という点である。
今回確認したLAFDの公開一次資料からは、LAFD TEMSが現在武器を携行するのか、Peace Officerとしての警察権限を持つのか、逮捕権を持つのか、現在どの種類の防弾装備を使用しているのかは確認できなかった。(直接会話をした隊員は武装すると言っていた)
POST/EMSAのTactical Medicine基準は、医療要員を武装させる場合には法的権限と適切な訓練が必要であり、武装した医療要員には法執行官相当の訓練・評価が必要だとしている。[POST/EMSA 2010] [21]
これは逆に言えば、TEMSであることと、武装した法執行官であることは同義ではない。
したがって本稿では「武装した消防Paramedic」とは表現しない。
【FRVとTEMS、Hollywoodで見えた接点】
HollywoodでTEMSを考えるうえで興味深いのが、Fast Response Vehicle(FRV)である。LAFDは2020年2月、FRVプログラムを市内4台体制へ拡大した。
FRVは火災とEMSの双方へ柔軟に対応するmulti-mission resourceとして位置付けられ、Firefighter/Paramedicsが配置されていた。[LAFD 2020] [5]
さらに同じ公式発表でLAFDは、当時すべてのFRV personnelがTactical EMS(TEMS)として認定され、LAPD SWATの支援にも利用可能と説明している。
そしてHollywoodに追加されたのがFRV 82だった。LAFDはこの追加により、4つのgeographic bureauすべてにFRVが配置されたとしている。[LAFD 2020] [5]
ここから見えてくるのは、TEMSを「特殊事件のときだけ現れる別世界の部隊」に閉じ込めず、日常のEMSリソースにも戦術医療能力を重ねる発想である。ただし、これは2020年当時の配置である。
2026年現在もFRV 82が同じ場所、同じ要員構成、同じ勤務方式でTEMS運用されていることは、今回確認した公開一次資料では確認できなかった。
【日本ならどう考えるか】

では、日本ではどうだろう。「アメリカにはTEMSがある。日本にはない」と単純化するべきではない。
日本にはSATなど、銃器使用の重大突発事案や重大テロ事案に対応する警察部隊が存在する。警察庁はSATの任務を、重大テロ事件や銃器使用の重大突発事案で被害者等の安全を確保しつつ被疑者を制圧・検挙することと説明している。[警察庁] [22]
消防にも高度・特別高度救助隊をはじめとする専門的な救助能力があり、特殊災害への対応体制が整備されてきた。国民保護共同訓練でも、各種テロ事案等を想定した実動・図上訓練を通じ、関係機関の連携強化が図られている。[消防庁] [23]
さらに日本には、DMAT、ドクターカー、ドクターヘリなど、医療を病院の外へ持ち出す仕組みが存在する。厚生労働省は2025年7月にも日本DMAT活動要領を改正している。[厚生労働省 2025] [24]
だから、この違いを、「アメリカはParamedic、日本は医師」という単純な職種論で見ると、本質を外す。
[考察]
LAFD TEMSから見えてくるのは、Paramedicを医師の代わりにする発想ではない。Paramedicが本来持っている病院前救護能力に、戦術環境への適応能力を加える。そして、その医療能力を必要な位置まで前進させる。という発想である。
日本で考えるなら、
医師をHot Zoneへ送るのか。
救急救命士を送るのか。
という二択ではない。
危険性の高い場所では、
止血。
最低限の気道・呼吸管理。
搬出。
救助。
より安全な区域では、さらに高度な病院前医療。
その後方ではDMATや医師による医療調整や高度な判断。
というように、「誰を前へ出すか」ではなく、「どの能力をどの危険度まで持っていくか」という視点で考える方が合理的だと思う。
【まとめ|重要なのはTEMSを真似することではない】
LAFD TEMSの本質は、「危険へ突入するParamedic」ではない。医療アクセスを早める利益と、救急隊員を危険にさらす不利益をどう釣り合わせるか。
そのために、
戦術教育。
警察との共同訓練。
装備。
指揮命令。
Medical Control。
通信。
進入と撤退の判断。
活動後の検証。
そうした要素を一つのシステムとして考えることに意味がある。
実際、LAFDの2023–2026 Strategic Planには、暴力を伴うEMS事案について法執行機関と連携し、Tactical EMSを必要とする事案を含め対応を改善することが組織目標として明記されている。[LAFD Strategic Plan 2023–2026] [25]
日本がそのままLAFDをコピーする必要はない。
銃器をめぐる社会環境も違う。
警察制度も違う。
消防制度も違う。
救急救命士制度も違う。
そして、医療者を意図的に脅威の残る場所へ配置するのであれば、医療効果だけでなく、隊員の安全、教育、法的責任、装備、本人保護という倫理的・制度的な問題も同時に考えなければならない。Los Angeles Countyの現行方針自体も、戦術活動における医療支援ではリスクと利益を慎重に評価する必要性を示している。[LA County EMS 2026] [8]
【最後の問い】
傷病者が銃撃、テロ、特殊災害の現場に取り残されているとき、医療は安全になるまで待つべきなのか。それとも、安全に前進できる医療者を育成するべきなのか。
日本の救急救命士制度が今後さらに高度化していくのであれば、「戦術環境で活動できる救急救命士」
という選択肢も、将来的には議論の対象になり得るのではないだろうか。
重要なのは、
医師を前へ出すのか。
救急救命士を前へ出すのか。
という職種論だけではない。
誰が、どこで、どの能力を担うことが、最も傷病者の利益になるのか。
ロサンゼルスでTEMSという仕組みに触れ、私は改めてその問いを考えさせられた。

日本への示唆
LAFD TEMSから日本が学べるとすれば、それは「救急救命士をSWATのような現場へ送ること」そのものではない。
むしろ重要なのは、危険度に応じて医療能力を段階的に配置するという考え方である。Los Angeles Countyの2026年方針がHot Zoneでは退避と出血制御、Warm Zoneでは即時生命危機への限定的ケア、Cold Zoneでは追加医療と整理している点は、日本の警察・消防・救急・DMAT・医師派遣を考えるうえでも参考になる。 [26]
ただし、その前提には警察との共同訓練、戦術教育、適切なPPE、通信、指揮命令、Medical Control、進入・撤退基準、労務・安全管理が必要になる。TEMSは防弾ベストを着せれば成立する制度ではない。California POST/EMSAの基準も、医療監督、EMSとの連携、教育、装備、方針を含むprogram全体としてTactical Medicineを構築する考え方を示している。 [27]
参考文献・参考Webサイト
[LAFD 2017] Los Angeles Fire Department, “LAFD Tactical Emergency Medical Support Unit Performs Active Shooter Training,” 2017.
URL: https://lafd.org/news/lafd-tactical-emergency-medical-support-unit-performs-active-shooter-training
TEMS Unitという名称、embedded、Active Shooter対応、発足から「ほぼ5年」、迅速な救出・搬送、Stop the Bleed訓練を確認。 [3]
[LAFD 2016] Los Angeles Fire Department, “Update Agency Assist 06/01/2016,” 2016.
URL: https://lafd.org/alert/update-agency-assist-06012016-0
TEMSが法執行機関とともにhigh-risk、extended-duration special operationsで緊急医療を提供するとの説明。 [19]
[LAFD 2020] Los Angeles Fire Department, “LAFD Augments Fast Response Vehicle Deployment,” 2020.
URL: https://lafd.org/news/lafd-augments-fast-response-vehicle-deployment
FRV、Firefighter/Paramedic、当時のFRV personnelのTactical EMS認定、LAPD SWAT支援、FRV 82のHollywood配置を確認。 [5]
[LAFD EMS Bureau] Los Angeles Fire Department, “About EMS Bureau.”
URL: https://lafd.org/about-ems-bureau
LAFD EMS Bureauの機能、EMS Special Operations、FRV等の位置付けを確認。 [31]
[LAFD Strategic Plan 2023–2026] Los Angeles City Fire Department, “2023–2026 Strategic Plan,” 2023.
URL: https://lafd.org/sites/default/files/pdf_files/LAFD-2023-2026-STRATEGIC-PLAN-04042023%20.pdf
暴力を伴うEMS事案についてTactical EMSを含むlaw enforcement連携改善を明記。 [25]
[LAFD Training] Los Angeles Fire Department, “Training and Support Bureau.”
URL: https://lafd.org/about/organization/administrative-operations/training-support-bureau
Unified Command、複数機関合同訓練、WMD/terrorist related training、Law Enforcement等との連携を確認。 [20]
[LA County EMS 2026] Los Angeles County EMS Agency, Ref. No. 840, “Medical Support During Tactical Operations,” revised April 1, 2026.
URL: https://file.lacounty.gov/dhs/cms1_206356.pdf
TEMSの定義、Hot/Warm/Cold Zone、TECC原則、資格、Hot Zone活動者の訓練要件、事前計画等を確認。 [32]
[LA County EMS Ref.803] Los Angeles County EMS Agency, “Los Angeles County Paramedic Scope of Practice,” Ref. No. 803.
URL: https://file.lacounty.gov/SDSInter/dhs/1179850_803ParamedicScopeofPractice.pdf
Paramedicの気道管理、needle thoracostomy、vascular access、認可薬剤等のScope of Practiceを確認。 [18]
Los Angeles County EMS Agency, “Prehospital Care Manual.”
URL: https://dhs.lacounty.gov/emergency-medical-services-agency/home/resources-ems/prehospital-care-manual/
Los Angeles Countyの病院前救護方針・プロトコル体系。 [33]
[POST Tactical Medicine] California Commission on Peace Officer Standards and Training, “Tactical Medicine,” updated May 18, 2026.
URL: https://post.ca.gov/tactical-medicine
Tactical Medicineの定義、法執行特殊活動との関係、medical oversightやlocal EMS coordination等を確認。 [34]
[POST/EMSA 2010] California POST / California EMS Authority, “Tactical Medicine: Operational Programs and Standardized Training Recommendations,” 2010.
URL: https://emsa.ca.gov/wp-content/uploads/sites/71/2017/07/TacticalMedicine.pdf
教育、装備、peace officer status、武器携行の法的要件、TEMS program設計を確認。 [35]
California EMS Authority, “Tactical Casualty Care and Tactical Medicine for Special Operations.”
URL: https://emsa.ca.gov/tactical_casualty_care_and_tactical_medicine_for_special_operations/
Tactical Casualty CareとSpecial Operations Tactical Medicineの州レベルの整理。 [36]
FIRESCOPE, “ICS 701 Unified Response to Violence.”
URL: https://firescope.caloes.ca.gov/ICS%20Documents/ICS%20701.pdf
Publication page: https://firescope.caloes.ca.gov/publications
暴力事案における消防・EMS・法執行の統合対応を扱うFIRESCOPE文書。FIRESCOPE EMS SubcommitteeではICS 701が2023年2月23日に承認された文書として掲載されている。 [37]
[LAPD 2024] Los Angeles Police Department, “Officer-Involved Shooting in Topanga Division NRF057-24,” 2024.
URL: https://www.lapdonline.org/newsroom/officer-involved-shooting-in-topanga-division-nrf057-24dm/
SWATとLAFD TEMSがホテル内へ進出した実運用例。 [11]
[LAPD 2025a] Los Angeles Police Department, “Officer-Involved Shooting in Hollenbeck Division NRF035-25,” 2025.
URL: https://www.lapdonline.org/newsroom/officer-involved-shooting-in-hollenbeck-division-nrf035-25ma/
SWATとTEMSが対象者へ接近し医学的評価を行った事例。 [12]
[LAPD 2025b] Los Angeles Police Department, “Officer-Involved Shooting in Southwest Division NRF044-25,” 2025.
URL: https://www.lapdonline.org/newsroom/officer-involved-shooting-in-southwest-division-nrf044-25bb/
SWATとTEMSによる救出活動の事例。 [13]
U.S. Department of Homeland Security, Center for Domestic Preparedness, “Rescue Task Force During an Emergency Response to an Active Assailant Event,” 2026.
URL: https://cdp.dhs.gov/training/course/AWR-933-V17
法執行・消防・EMSを統合するRTF概念とICSの重要性を教育。 [38]
U.S. Department of Homeland Security, Center for Domestic Preparedness, “Active Shooter Incident Management.”
URL: https://cdp.dhs.gov/training/course/PER-353
Contact Team、RTF、Triage、Transport等を含む統合Active Shooter incident managementを確認。 [39]
[ACS 2025] American College of Surgeons, “May Is National STOP THE BLEED Month: Learn How to Save a Life with Three Simple Actions,” 2025.
URL: https://www.facs.org/media-center/press-releases/2025/may-is-national-stop-the-bleed-month-learn-how-to-save-a-life-with-three-simple-actions/
重度出血に対する早期対応の時間的重要性を確認。 [6]
[警察庁] 警察庁『警察白書』特殊部隊(SAT)・テロ対処部隊関連。
URL: https://www.npa.go.jp/hakusyo/r06/honbun/html/aa6612000.html
SAT、銃器対策部隊、NBCテロ対応専門部隊等の任務を確認。 [22]
[消防庁] 総務省消防庁『令和7年版 消防白書』。
URL: https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/r7/
高度な救助体制、特殊災害対応、国民保護共同訓練等を確認。 [23]
[厚生労働省 2025] 厚生労働省「災害医療派遣チーム(DMAT)について」。
URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_61831.html
日本DMAT活動要領の2025年7月22日改正等を確認。 [24]

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