【満月の夜の救急】って忙しくない?

消防
odanより引用

消防職員として35年間働きましたが、満月の夜は忙しかった記憶があります。
皆さんはどうでしょうか?

               
そこで、試しに2015年~2019年の5年間分の私が所属していた消防本部の救急件数と満月の相関関係を調べてみましたよ~。

ついでに新月は見えにくいけど距離は満月と変わらないので比較して、さらについでに満月や新月のピークが真夜中とは限らないので前後の日も調べてみました。

もう絶対にすごいことになってるはず!

そして、その結論はいかにぃぃぃ。

結果発表!

2015年~2019年の5年間救急件数

日平均665件
中央値629件
新月平均630件
新月中央値622件
満月平均640件
満月中央値628件
新月前後3日間平均633件
新月前後3日間中央値625件
満月前後3日間平均640件
満月前後3日間中央値632件
大阪消防救急年報より

あれ?関係ありませんでしたね。

ってか、トータル平均より少ないという結果です。

そうや!地球と月と太陽が一直線になって月が地球に最も近いスーパームーンの日ならきっと差が出るはず!ということで再度調べてみました。

【スーパームーン】の場合

スーパームーンの日件数その年の平均件数
2015/9/28606件602件
2016/11/14694件618件
2017/12/4615件627件
2018/1/2714件665件
2019/2/20711件672件
Photo by Ganapathy Kumar on Unsplash

2017年以外は平均よりやっぱり多かったですが、想像していたほど件数がダントツってわけではありません。69隊あるので1隊平均するとあんまし気づかん程度です。

また、同じ期間の年末年始(12月30日~1月3日)の平均件数は783件ですので、それに比べるとかなり少ないですね。

満月の夜が忙しいと思っていたのはやっぱり単なる気のせい?

【満月】の夜のジンクスは迷信か?

メラビアンの法則ってご存じですか?竹中直人みたいに笑いながら怒られると半数以上の人は怒られていると思わないってやつです。

正確にはこのケースは違いますが、似たような錯覚で忙しい夜に満月でなければ印象に残らないけど空を見て満月だと「あっ、やっぱり今夜は満月や!」となるのでしょうか?

よく出産も満月の日が多いと聞きますが、現在では病院や親の都合でコントロールされているケースが多いようです。

でも、そんなバイアスがかからない牛の出産で調べた研究がありました。

https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2016/20160902-1.htmlより引用

期待とおりでひと安心っす。

人間でしっかりしたデーターを取るには、出産日をなすがままに任せているような地域でならできると思いますが、分母が少ないのでかなりの長期間にわたり調査が必要になりますね。

では、出産以外のほかの研究結果はどうなっているのでしょうか?

意外と多かった【満月】と【救急】の研究

ネットで検索すると、洋の東西を問わず救急の関係者は結構気になっているみたいで、いろいろな研究結果が発表されていました。

それらを要約すると、ほとんどは満月と事故や事件との因果関係は否定されていました。

例えば、米国などでの緊急通報(911)や交通事故、自殺、重大犯罪、救急外来件数と月の満ち欠けは関与しないということです。

興味のある方は以下を参照してください。

Susan D. DeVoge, et al., “Moon Phases and Crisis Calls: A Spurious Relationship.” Psychological Reports, Vol.40, Issue2, 1997 

Mikelis Bickis, et al., “Crisis Calls and Temporal and Lunar Variables: A Comprehensive Examination.” The Journal of Psychology, Vol.129, Issue6, 1995 

W H. Laverty, “Cyclical Calendar and Lunar Patterns in Automobile Property Accidents and Injury Accidents.” Perceptual and Motor Skills, Vol.86, 1998

V M. Mathew, et al., “Attempted suicide and the lunar cycle.” Psychological Reports, Vol.68, 927-930, 1991

Teresa Biermann, et al., “Relationship between lunar phases and serious crimes of battery: a population-based study.” Comprehensive Psychiatry, Vol.50, Issue6, 573-577, 2009

David A. Thompson, et al., “The full moon and ED patient volumes: Unearthing a myth.” The American Journal of Emergency Medicine, Vol.14, Issue2, 161-164, 1996

odanより引用

う~ん、やっぱりそうなんか。。。。

なんだかな~っていう感じです。

でも、ググっているうちに犬の咬創は満月と関連してるっていうことがわかりました。

【満月】と動物咬傷

英国のある地方都市の救急外来の3年間の動物咬傷1,621例のうち満月は37日で他の日より約2倍にも増えたようです。

Bhattacharjee C, et al:Do animals bite more during a full moon? Retrospective observational analysis. BMJ, 321:1559-1561, 2000

odanより引用

ちょっと本題からはずれますが、これはこれで興味深いですね。狼男の物語は昔の人も経験的に満月の夜は犬が危険だとわかっていて、子供たちが外に出ないようにするためにできたとも考えられます。

ちなみにですが、うちにいたライオン犬のスミレちゃんは月の満ち欠けには一切関係なくずっと、のほほ~んとしていました。

在りし日のスミレちゃん

まとめ

  • 救急件数や事故、事件と満月の因果関係はない  みたい
  • 満月の夜が忙しいと感じるのは、満月が印象に残りやすいから  だろう
  • 動物は満月の夜に興奮しやすく、お産も誘発しやすい  らしい

おまけ

最後に現役の救急隊員に聞くと、年がら年中忙しくて満月なんかまったく気にもとめていないそうですが言葉のジンクス、例えば交代前に「今日も終わった~」とか、少しの間救急指令が出ないときに「今日はましかな?」とかは言うとすぐに指令が入るというジンクスは続いている様です。

odanより引用

海外の消防ドラマでも複数のエピソードで同じことを言っていますので、これも世界中の消防アルアルですね。

本日はここまで~。

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